ウパニシャッド 身体論③
「父上、もっと重要なことを教えて下さい。」
「よろしい」
「人間は16分から成っているのだ。試(こころ)みに15日間何も食べないでいてごらん。
但し、水だけは飲んで宜しい。
息は水からできているから、水さえ飲んでいれば息が絶えるという心配はないのだ」
息子は15日間絶食して、父の許(もと)にやって来た。
「父上、何を暗誦してみましょ?」
『梨倶(リグ)と夜柔(ヤジュル)と娑磨(サーマン)とをやってごらん」
「どうしたんでしょう、一向におもいだせません」
「それはね、譬(たとえ)ば大きな焚火(たきび)の跡に蛍光(ほたるび)ぐらいの
燠(おき・薪などが燃えて炭火になったもの)が一つきり残ったとしたら、
もうこの燠では大きいものを燃やすことはできないように、
おまえの16分の1分だけが残っているとしたら、
それで以てヴェーダを暗誦することなんて到底できっこないのだよ。御飯をおあがり」
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